スズキキャリイの全モデルの型式を振りかえろう | CARTUNEマガジン
スズキキャリイの全モデルの型式を振りかえろう

2019年06月09日 (更新:2022年10月28日)

スズキキャリイの全モデルの型式を振りかえろう

軽トラの代名詞的存在であるキャリイ。キャリイには50年を超える長い歴史があり、現在販売されているキャリイはなんと11代目。今回は、そんなキャリイの歴史を初代モデルから紐解いてみました。この記事を読めば、これまでのキャリイの歴史をすべて振り返ることができるはずです。キャリイについてもっと詳しくなりたいキャリイオーナーの方はぜひ参考にしてください。

初代 FB型

引用元:https://www.suzuki.co.jp/about/museum/1960s/

初代キャリイは1961年に発売した軽トラック及び軽バンです。当時のスズキは、2輪車市場だけでなく軽自動車市場でも高い人気を博していたのですが、本格的な軽商用車はラインナップに存在しておらず、他社の軽3輪トラックにシェアを奪われていました。

当時の社長が商機を逸するべきではないと考え、開発に至ったのが初代キャリイです。正式名称は「スズライト・キャリイ」で、現在のスズキの軽ワンボックスバンであるエブリイも「スズライト・キャリイバン」として発売されています。

これまで培っていたスズキ車の信頼性の高さ、30万円弱の低価格などが軽商用車を求めているユーザーに支持されて大ヒット。初代キャリイがヒットしたおかげで、スズキは軽商用車市場での地位を確固たるものにしました。

2代目 L20型

初代キャリイの大ヒットから4年後に、2代目キャリイが発売。2代目キャリイの販売期間は1965年から1969年です。初代キャリイからのキープコンセプトで、全体的なスタイリングなどをそのまま踏襲しています。

外観デザインに大きな差はなく、マイナーチェンジといっても違和感はありません。今回のフルモデルチェンジによって、初代キャリイでは12インチだったタイヤ・ホイールが2代目キャリイでは10インチのタイヤ・ホイールへと縮小されています。

初代キャリイと同様、2代目キャリイの発売から1年も経たずにエブリイの前身であるバンタイプを追加設定。ちなみに2代目キャリイの正式名称も「スズライト・キャリイ」です。キープコンセプトでの設計が幸いして、2代目キャリイも好調な販売台数を記録しました。

3代目 L30型

3代目キャリイの登場は1966年、2代目キャリイが発売してからわずか1年後のことです。こちらはスズライトキャリイではなくキャリイに名称変更されています。そのため、現在まで続くキャリイの初代モデルは厳密にはこちらだという声もあります。

2代目キャリイまではボンネットを確保したセミキャブオーバータイプを採用していましたが、3代目キャリイではボンネットのないキャブオーバータイプを採用。ボンネットを廃止することで、荷台スペースをさらに広く確保しています。

キャブオーバータイプになったことで、デザインが大幅に変更。現代の軽トラックに通ずるスタイリングに近づいています。3代目キャリイは2代目キャリイと併売されていましたが、2代目キャリイのフルモデルチェンジと同時に販売終了となりました。

4代目 L40型

引用元:https://www.suzuki.co.jp/about/museum/1960s/

2代目キャリイと3代目キャリイが同時に生産終了となり、新たに登場したモデルが4代目キャリイです。これまでのキャリイとは印象が大きく異なるデザインを採用していますが、このデザインを手がけたのは、カーデザイナー・ジョルジェット・ジウジアーロです。

数々の名車のデザインを手がけているカーデザイナーがデザインしているということもあって、良い意味で日本車らしくないヨーロピアンテイストを感じさせるデザインに生まれ変わっています。4代目キャリイにもトラックタイプとバンタイプの2種類が設定されました。

リア周りの傾斜が強い独創的なスタイリングを採用した4代目キャリイバンは、 その独創的なスタイリングを実現すべくラゲッジスペースの容量を犠牲にしています。軽商用車としては大きすぎる欠点ですが、その画期的なデザインには未だにファンがいるようです。

5代目 L50型

4代目キャリイは発売からわずか3年で5代目キャリイへとフルモデルチェンジを実施。4代目モデルで大きな変革期を迎えたキャリイですが、5代目モデルでもフロントドアの三角窓を廃止、バンタイプでは先駆けて採用されていたコンビネーションタイプのテールランプをトラックタイプにも採用するなど、数々の変更点があります。

4代目キャリイまではコラムシフトを採用していたのですが、5代目キャリイではフロアシフトを採用。同様に、4代目キャリイまでは空冷エンジンを搭載していたのですが、5代目キャリイからは水冷エンジンを搭載しています。

5代目キャリイは当時の軽商用車としてはパワフルなエンジンを搭載していたことでも有名です。 キャリイバンはヒンジ式ドアからスライドドアに変更、ラゲッジスペースの広さも拡大されたことで、軽商用車としての使い勝手も向上しました。

6代目 ST20型

引用元:https://www.suzuki.co.jp/about/museum/1970s/

5代目キャリイは6代目キャリイが登場する4か月前に、軽自動車の規格変更に対応するために排気量とボディサイズを拡大しています。「キャリイ55」という名称で販売されていました。

そんな「キャリイ55」をベースに開発され、1976年に登場した6代目キャリイは全幅が100mmも拡大。軽商用車としてさらに便利に進化しました。これまでの軽商用車と比べて全幅が大きいことから、「キャリイワイド」という愛称がついていたようです。

「キャリイ55」で採用されていた電動式ウインドウウォッシャーも引き続き採用。そのスタイリングはやや個性的だった5代目キャリイをマイルドにしたものが採用されています。発売から1年後に実施されたマイナーチェンジでは、ダミーフロントグリルが装備されてカッコよくなっているようです。こちらは1979年には生産終了となりました。

7代目 ST30/ST31/ST40/ST41型

6代目キャリイの生産終了とともに、発売開始となった7代目キャリイ。7代目キャリイはトラックタイプが先行して発売開始され、その1年後にマンタイプがフルモデルチェンジを実施しています。ボディの基本設計を大きく変更したことで商品価値を高めました。

これまでのキャリイは3~5年周期での短期スパンでフルモデルチェンジを実施していたのですが、7代目キャリイの販売期間は6年間とこれまでのキャリイでは最長です。バンタイプはフルモデルチェンジから1年後に、ハイルーフ仕様を追加設定しています。

また、7代目キャリイからパートタイム4WDが採用。パートタイム4WDもトラックタイプが先行して採用され、その1か月後にバンタイプも採用しています。そして、1982年に実施されたマイナーチェンジによって、バンタイプはエブリイとして独立。それ以降、新たに発売するキャリイはトラックタイプにだけ与えられる名称になっています。

8代目 DA71/DB71/DA81T/DA41T/DB41T/DA51T/DB51T

バンタイプがエブリイとして独立してから3年後、7代目キャリイはフルモデルチェンジを実施して、8代目キャリイへと移行しました。これまで角目ヘッドライトを採用していたのはジョルジェット・ジウジアーロがデザインした4代目キャリイだけだったのですが、8代目キャリイでは久しぶりの角目ヘッドライトを採用しています。

従来と同様、キャブオーバータイプの軽トラックですが、標準ルーフのほかにバンタイプに設定されていたハイルーフを設定。8代目キャリイに関しては一部グレードのみの採用ですが、このモデル以降からフロントディスクブレーキを標準装備するようになっています。

1989年に実施されたマイナーチェンジによって、大胆なフェイスリフトを行いました。8代目キャリイの大きな特徴であった角目ヘッドライトは丸目ヘッドライトへと変更されたものの、現代の軽トラとほぼ変わりないスタイリングとなっています。

また、その1年後に実施されたマイナーチェンジでは、廉価グレードのみ標準装備していた丸目ヘッドライトを全グレードに採用。

軽自動車の規格変更に対応するべく、全車660ccの直列3気筒SOHCエンジンを搭載しています。ボディサイズに関しては、フロントバンパーの延長などで対応しているため、キャビンやラゲッジスペースの広さは変わりありません。

9代目 DC51T/DD51T

おとんファクトリーさんのキャリイトラックの画像
おとんファクトリーさんのキャリイトラックの画像

9代目キャリイの登場は1991年です。8代目キャリイが販売されていた当時の軽自動車規格に対応すべく、ボディサイズが拡大。キャビンとラゲッジスペースが広くなっているようです。2WDモデルは全車にフロントディスクブレーキを採用、タイヤ・ホイールが12インチとなりました。

8代目キャリイの後期モデルに引き続き、愛嬌のある丸目ヘッドライトを採用しますが、一部グレードに限り個性的な形状の角目ヘッドライトを採用。搭載するエンジンは8代目キャリイと同一のF6A型です。また、ターボ仕様も新たに設定されています。

9代目キャリイでは、トラックとしては初めて国内累計販売台数が300万台を突破。さらに、エブリイの発売以降も継続して販売されていたキャリイバンが29年の歴史に幕を下ろしています。

10代目 DA52T/DB52T/DA62T/DA63T/DA65T

しゅうさんさんのキャリイトラックの画像
しゅうさんさんのキャリイトラックの画像

9代目キャリイが8年間にわたって販売された後、1999年に10代目キャリイへとフルモデルチェンジを実施します。現在まで続く軽自動車規格に対応するために、ボディサイズを拡大するとともに、2代目キャリイ以来のセミキャブオーバータイプを採用しました。

2002年にはキャビンの形状をエブリイと共通のデザインへと大幅変更し、実質的なフルモデルチェンジに近いビッグマイナーチェンジを実施しています。軽トラック唯一の分離荷台を採用したことで、衝撃の軽減や修理・交換がしやすくなりました。

ユーザーに嬉しい仕様を追加

そのさらに3年後、農業を営んでいる人向けに取り回し性に優れたフルキャブ・ショートホイールベース仕様を新たにラインナップ。セミキャブ・ロングホイールベース仕様と併売して販売が行われています。

駆動方式はFR/4WDの2種類で、トランスミッションは5MT/3ATです。ビッグマイナーチェンジ以前は、F6A型0.6L直列3気筒SOHC自然吸気エンジンと同じくF6A型ターボエンジンを搭載。ビッグマイナーチェンジ後は、K6A型0.6L直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載しています。

10代目キャリイは今でも見かける人という人が多いのではないでしょうか。比較的年式が新しいのでまだまだ中古車需要は高く、カスタムベースとしての人気もあります。これから中古車を購入するのであれば10代目キャリイはおすすめのモデルです。

11代目 DA16T

かつくんさんのキャリイトラックの画像
かつくんさんのキャリイトラックの画像

10代目キャリイは約15年にわたって販売されていました。そして、2013年に11代目キャリ-へとバトンタッチします。11代目キャリイはセミキャブロングホイールベース仕様とフルキャブショートホイールベース仕様のが併売されていましたが、11代目キャリイではそれらを統合して、フルキャブショートホイールベース仕様のみの販売になりました。

ボディの基本設計を刷新することで、キャビン内の快適性を向上。荷台スペースも拡大して低床フロア化も図られています。搭載するエンジンはワゴンRをはじめとする軽乗用車への採用で実績のあるR06A型0.6L直列3気筒DOHCエンジンを搭載。

ターボモデルは設定されていませんが、VVT機構を採用することで、最高出力の向上や低中速域におけるトルクアップを実現しています。軽量ボディを採用していることもあって、自転吸気エンジンでも力不足を感じさせない仕上がりです。

フロントマスクには異形角目ヘッドライトを採用。軽トラとしてはスタイリッシュで、どこか愛嬌も感じられる顔つきになりました。11代目キャリイは発売から6年が経過していますが、10代目キャリイのモデルサイクルから推測するに、まだまだ販売が継続されることが予想されます。

現代の車としては新車価格が100万円以内で購入できる数少ない車種なので、気軽に購入することができそうです。もちろん、中古車市場にも多数の11代目キャリイが流通しているので、状態の良い車両が見つかれば中古で購入するのもアリだと思います。

まとめ

四十肩さんのキャリイトラックの画像
四十肩さんのキャリイトラックの画像

スズキの商用車販売に欠かせない存在であるキャリイの全モデルを振り返ってみました。キャリイはスズキの新車で購入できる車の商標としては、最も古い商標です。あと数年もすれば、その歴史は60年に到達します。

軽運送業から農業、漁業など様々な業種をサポートしてくれるだけでなく、普段使いやカスタムベースとしても高い人気を誇るキャリイ。これから購入するのであれば、11代目キャリイもしくは10代目キャリイがおすすめですが、10代目キャリイ以前のレトロなモデルを維持していくのも面白いかもしれません。

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