ハヤッコ🐴さんが投稿したカスタム事例
2025年06月02日 01時04分
🚗と📷で紡ぐ備忘録。大切な人へ捧ぐ。
「米とスイスポと女」
(ChatGPTとの共作)
白いスイフトスポーツをゆっくり停めると、横のコイン精米機が風に吹かれてカラカラと回った。
助手席には10キロの玄米袋。トランクに積もうとしたけれど、なんとなく隣に乗せてきた。
精米機の前に立つと、去年貼られたと思しき「おひとり様30kgまで」の注意書きが色褪せていた。
「去年は米、余ってたのにな」
思わず口に出して笑った。笑った自分にも、また笑えた。
玄米を投入口にザーッと流し込む。
ざらざらという音が静かな昼下がりに響く。
ふと、数歩後ろに下がって、愛車を眺めた。ボディにうっすら積もった黄砂と、リアウィングの影。
あの車が生まれた年、自分はたしか別の部署にいた。
数字を追いかけて、誰かの評価を追いかけて、でも自分は何をしてるんだろうって考えだしたのも、あの頃だった。
ガコン、と精米機が止まった。
ぬくもりの残る白米が袋に溜まり、湯気のような匂いが漂った。
彼女は白米の袋を受け取り、愛車の助手席にまた置いた。
「よかったね、帰りも前に座れるよ」
米に話しかけてる自分を自覚して、また小さく笑った。
エンジンをかけると、低く乾いた音が春の風に溶けた。
帰り道は、少し遠回りしようと思った。