BGFKさんが投稿したカスタム事例
2025年05月19日 20時45分
音楽を語り楽しみ感じるオーディオを
今朝の投稿で、
「美味しいゲインはクリップする直前」は根拠がない
と書いた件で、自分なりの立証が出来たと思うのでそれを紹介したい
上の回路図は、
トランジスタを使った初歩的な増幅回路で、
https://youtu.be/PqwZ5Sxiqz8?si=JBLcK-gUL-TA_XH1
この動画を参考にした
このチャンネルの方は退職されたトランジスタ設計製造の元エンジニアで、かつオーディオアンプの製作に長く関わってきた方のようで、
いい加減な言説が多数振り撒かれているオーディオ界隈にあって、言ってることがまともな希少な方だと思っている
で、この回路では、入力を1KHzの正弦波、電源電圧をDC10V、増幅率10倍、入力レベルを0.2V、0.3V、0.4Vとして、出力波形からFFT分析をした
0.5Vを入力したらクリップした
電源電圧が10Vなので、波形としては±5VがMAXだがその前にクリップする
増幅率10倍なので、0.5Vでクリップは妥当な結果だろう
0.4V入力
0.3V入力
0.2V入力
トランジスタの増幅では、高調波歪みというのは不可避らしい
高調波歪みとは、基本周波数に対して整数倍の周波数で歪みが生じることで、
今回の調べでは、1KHzの正弦波入力に対して、出力では、2KHz、3KHz
、、、と、
整数倍の周波数で針が飛び出ているように音が存在していて、
つまり入力されてない音が出力されている
これが歪みである
オーディオアンプでは、この高調波歪みをどうやって抑えるか減らすかで、回路のいろんな工夫があるようだ
それの全容はまだ分からない
で、今回の調べでは
0.5V入力ではクリップしたので、
その直前の0.4、0.3、0.2VのFFTを調べたのだが、
0.4と、0.2を比べれば分かりやすいとは思うが、
基本周波数に対する第二次高調波(2k)の落差が0.2の方が大きい
つまり歪み率では小さい、ということが言える
つまり、高調波歪みという点では、
クリップ直前よりも、さらに下の方が歪みは小さいので、
「直前が美味しいゲイン」というのはどうなのか?
ということなのだ
ただ今朝の投稿で「実際は害はない」と言った内容になるのだが、
現在のカーオーディオの一般的な機材構成では、上流のRCA出力レベルが無用に高すぎる(4Vとか)ために、
パワーアンプの入力レベル調整(ゲイン調整という言い方がされているが)ではかなり絞り方向にならざらを得ず、
そもそも「美味しいゲインに巡り合うことはない」と思っている
実際にはクリップするような位置では使えないからその直前になるのだが、
パワーアンプについている小さな可変抵抗の宿命というか、
大きく絞ったところで使うと音が死んでいく場合が多い
結局はソース側の音量レベルをある程度下げたところで、パワーアンプの入力レベルを調整するのが妥当になる
PS
話が少し飛ぶが、「音響機器の世界では高調波歪みと倍音は同じとされている」などという言説を目にしたが、
妄論も甚だしい
倍音とはまずは楽器の倍音のことであって、これは物体の振動に関する話で、
高調波歪みは電気信号の増幅における歪みの話である